佐々木とピーちゃんは「なろう」発?Web版の掲載先と書籍版との関係

夜のアパートの机の上で、ノートパソコンの光に照らされた一羽の文鳥と、ネクタイをゆるめた中年会社員が並んで画面をのぞき込んでいる温かな情景 SF・ファンタジー

結論から言うと、『佐々木とピーちゃん』は「なろう」でも連載されましたが、最初の掲載先はカクヨムです。

カクヨムでは2018年12月4日、小説家になろうでは同月8日に連載が始まりました。Web版と書籍版(MF文庫J)は内容が異なり、Web版の最新話は書籍2巻の中頃に相当します。

この記事では、掲載先の違いと書籍版との関係、そしてこれからどう読むのがよいかを、順を追って整理していきます。

佐々木とピーちゃんは「なろう」発なの?答えは「カクヨムが先、なろうは4日後」

まず、いちばん知りたいところからお答えしますね。

『佐々木とピーちゃん 異世界でスローライフを楽しもうとしたら、現代で異能バトルに巻き込まれた件 〜魔法少女がアップを始めたようです〜』は、作者・ぶんころりさんによるWeb小説として始まりました。

公開された順番は次のとおりです。

  • カクヨム:2018年12月4日に連載開始
  • 小説家になろう:2018年12月8日に連載開始

つまり、厳密にいえば「なろう発」ではなく、カクヨムが先で、なろうにもほぼ同時期に投稿されていたというのが正確なところです。

「なろうで読んだ記憶がある」という方の記憶も、まったく間違いではありません。二つのサイトで並行して読める時期があったため、読者によって出会った場所が違うのです。

ただ、作品が大きく羽ばたくきっかけを作ったのはカクヨム側でした。この作品は第4回カクヨムWeb小説コンテストで異世界ファンタジー部門の特別賞を受賞しています。

個人的には、この「どちらのサイトの作品か」という問いの答えそのものに、作品の性格が表れているように感じます。異世界と現代日本を行き来する物語が、二つの投稿サイトを行き来しながら育っていった。偶然ではありますが、なんとも本作らしい始まり方です。


Web版はどこで読める?カクヨム版の現在の状況

では、今Web版を読みたい場合はどこへ行けばよいのでしょうか。

現時点で状況がはっきり確認できるのは、カクヨムの作品ページです。そこには読者向けに、いくつか大切な注意書きが添えられています。

  • Web版と書籍版では内容が異なる
  • 書籍版では主ヒロインが新たに追加されている
  • Web版の最新話は書籍版の2巻中頃に相当する
  • Web版の更新は現在休止中

カクヨム版は「連載中」の扱いで全100話、文字数はおよそ32万字。作品ページには1万4千を超える★と、約3万9千人のフォロワーが集まっています。

更新が休止中とはいえ、これだけの読者が今もフォローしているのは、Web版が「書籍版への入口」として機能し続けている証拠だと私は受け取っています。

一方、小説家になろう側については少し注意が必要です。

ぶんころりさんの「なろう」の活動報告には、2025年4月に「なろう版が消えて布教しにくい」という趣旨の読者コメントが残されています。このことから、なろうでは現在Web版本文を読みにくい状態になっている可能性がうかがえます。

ただし、公式に理由や経緯が説明されたものは確認できませんでした。なろう版の状況は変わることもあるので、気になる方はご自身で作者ページを確かめてみてください。

少なくとも「今からWeb版を読むならカクヨム」と考えておくのが、いちばん確実だと思います。

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Web版と書籍版の関係は?内容の違いを比較

ここが、検索してくださった方がいちばん気になる部分かもしれません。

Web版と書籍版は「同じ物語の別バージョン」であり、書籍版は単なる加筆修正版ではなく、構成やヒロインまで手が入った“もう一つの本編”と考えるのが近いです。

違いを表で整理してみます。

項目Web版(カクヨム)書籍版(MF文庫J)
開始時期2018年12月4日(なろうは同月8日)2021年1月25日刊行開始
分量全100話・約32万字1〜13巻が既刊、14巻は2026年10月23日発売予定
主ヒロイン書籍版で追加された主ヒロインは登場しない主ヒロインが新たに追加
物語の範囲書籍2巻の中頃まで以降も物語が進行中
更新状況休止中刊行継続中
イラストなしカントクさんが担当

特に大事なのは「Web版の終わり=書籍2巻の途中」という点です。

カクヨムに寄せられた読者レビューの中には、Web版の続きは書籍2巻の485ページから、と具体的に書き込んでいる方もいました。Web版を読み終えた人が書籍へ移るときの“乗り換え地点”として、読者同士で共有されているのが面白いところです。

書籍化当初の反応も印象的でした。

2020年12月4日、ぶんころりさんが「なろう」の活動報告で1巻発売を告知すると、「本にならないのかと思っていた」「書店で買います」という喜びの声が相次ぎました。1巻を読んだ読者からは「Web版がほぼ載っている感じ」という感想も寄せられています。

つまり、1巻はWeb版の流れを比較的保ちつつ、巻が進むほどWebでは描かれなかった領域に入っていくという構図です。

※画像はAIによるイメージ

書籍版はどう広がった?MF文庫J初のソフトカバーと受賞歴

書籍版の歩みも、Web版との関係を理解するうえで欠かせません。

書籍版はKADOKAWAのMF文庫Jから刊行されていますが、実はレーベル初となるソフトカバー単行本の作品です。いわゆる文庫サイズではなく、「新文芸」と呼ばれる少し大きめの判型で世に出ました。

これは、Web小説発の作品を大人の読者にも手に取ってもらうための選択だったと私は考えています。主人公が「万年平の草臥れた社畜」である本作には、とてもよく似合う器です。

評価も目覚ましいものがあります。

  • 『このライトノベルがすごい!』単行本・ノベルズ部門:2022年版で1位、2023年版で7位
  • 「次にくるライトノベル大賞2022」単行本部門:6位
  • シリーズ累計:電子版を含め2024年9月時点で75万部を突破

各巻のサブタイトルを眺めるだけでも、Web版の範囲をはるかに超えて物語が広がっていることが分かります。

たとえば7巻は疑似家族の結成、9巻はお隣さんがVTuberとして成り上がる話、10巻は英語の話せない社畜が海外赴任先でマフィアに採用される話、11巻は異世界のダンジョン攻略。

そして14巻は、宇宙の彼方から機械生命体の調査隊が飛来するという、まさに「全部乗せ」の極みのような内容が予告されています。

Web版で「異世界×異能バトル×魔法少女」の三本柱に惹かれた方ほど、書籍版の“その先”には驚かされるはずです。


コミカライズとアニメは何を原作にしている?

メディアミックスでも、基本となっているのは書籍版です。

コミカライズは二つの流れがあります。

  • プレジ和尚さん版:少年エースplusで2021年1月22日から。原作1巻から始まる流れで、単行本は6巻まで刊行(6巻は2026年6月26日発売)
  • 吉北ぽぷりさん版:2026年5月29日から連載開始。原作3巻以降、つまりアニメSeason2の原作部分を題材にしたもの

アニメはSILVER LINK.の制作、湊未來さんの監督で、Season1が2024年1月5日から3月22日まで全12話で放送されました。

佐々木を杉田智和さん、ピーちゃんを悠木碧さんが演じています。お二人の声は、PVやボイスコミックの頃から共通しているのも嬉しいポイントです。

ピーちゃんが神戸牛のシャトーブリアンを頬張るたびに、「賢者が転生していない文鳥にはお肉を与えないように」という注意書きが画面に出る演出を覚えている方も多いでしょう。

そして、Season2は2026年10月7日から放送予定です。

カクヨムのレビュー欄を見ると、2024年1〜2月ごろに「アニメを見て小説を見に来ました」という投稿がいくつも並んでいます。アニメがWeb版への入口になり、Web版が書籍版への入口になる。この循環こそが、本作の広がり方の特徴だと感じます。

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世間の反応は?Web版読者と書籍版読者の声

読者の反応をたどると、Web版と書籍版それぞれの役割がよく見えてきます。

カクヨムのレビューでは「てんこ盛りなのに読みやすい」「異世界・異能力者・魔法少女が満載なのに話がしっかり成立している」といった声が目立ちます。

一方で、「新しいイベントがどんどん押しかけてくるので賛否は分かれるかも」「スローライフに見えてかなり忙しい」という、愛情まじりの指摘もありました。

私はこの「忙しさ」こそが本作の醍醐味だと思っています。スローライフを目指せば目指すほど遠ざかっていく佐々木の姿に、働く大人は自分を重ねてしまうのです。

書籍化時の反応も温かいものでした。「挿絵の担当が大当たり」とカントクさんのイラストを喜ぶ声や、「佐々木さんが『パトレイバー』の後藤さんに似ている」と、昼行灯なのに頭が切れる中年像を重ねる感想も寄せられています。

また、なろうの活動報告に「カクヨムは読んでいないので、ここでの報告が助かる」という書き込みがあったのも印象的でした。二つのサイトにそれぞれ読者がいて、作者がどちらにも告知を届けていたことが分かります。


筆者の考察:Season2の物語は「Web版の外側」にある

ここからは、私みらくるの私見です。

今回いちばんお伝えしたいのは、アニメSeason2で描かれる物語は、ほぼWeb版では読めない領域になる可能性が高いということです。

整理するとこうなります。Web版の最新話は書籍2巻の中頃まで。一方、吉北ぽぷりさんのコミカライズは「原作3巻以降=アニメSeason2の原作部分」とされています。

つまり、Season2に向けて「予習をしよう」とWeb版を読み始めても、Season2の本題に入る手前で物語が止まってしまうわけです。

Season1の放送時は、アニメからWeb版へ流れてきた読者が「一気に最新話に追いついた」と満足していました。けれど、Season2では同じ導線がそのまま機能しにくい。ここは、これから作品に触れる方にぜひ知っておいてほしい点です。

では、どう楽しむのがよいのでしょうか。

個人的なおすすめは、次のような順番です。

  • まずカクヨムのWeb版で世界観と佐々木・ピーちゃんの関係に触れる
  • 気に入ったら書籍1巻から読み直し、追加された主ヒロインを含む“正史”を味わう
  • Season2を観ながら、3巻以降の書籍や吉北ぽぷりさん版コミカライズで補完する

Web版と書籍版の違いを「どちらが正解か」と捉える必要はないと思います。

Web版には、投稿サイトならではの勢いと、読者と一緒に走っていた頃の熱があります。書籍版には、ヒロインの追加や構成の見直しを経た、練り上げられた物語があります。同じ文鳥が、二つの世界で少し違う顔を見せてくれる。そう考えると、両方を知ることがいちばん贅沢な楽しみ方です。

もう一つ、Web小説全体の流れの中で見ても、本作は興味深い位置にいます。

カクヨムとなろうに並行投稿し、コンテスト受賞を経て書籍化、そして書籍版で大きく内容を改めていく。これは近年のWeb発ライトノベルでよく見られる道筋ですが、本作は書籍版で主ヒロインまで追加するほど踏み込んでいます。

作者のぶんころりさんは、同じくWeb発の『田中~年齢イコール彼女いない歴の魔法使い~』(書籍では『田中のアトリエ』として展開)を15巻で完結させた経験を持つ書き手です。長いシリーズを最後まで書籍で描き切った実績があるからこそ、本作も「Webは入口、書籍が本編」という形に落ち着いたのだろうと私は受け止めています。

今後の見通しとしては、2026年10月7日のSeason2放送開始、10月23日の14巻発売が重なる秋に、再び新しい読者が大量に流入すると考えられます。

そのとき、カクヨムのWeb版は“お試しの入口”として、書籍版は“物語の本流”として、それぞれの役割がいっそうはっきりしていくのではないでしょうか。

Web版の更新が再開されるかどうかは分かりません。けれど、休止中でも約32万字の物語が変わらず開かれていること自体が、新しい読者への優しい招待状になっていると私は感じています。

※画像はAIによるイメージ

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まとめ:佐々木とピーちゃんは「なろう」にも載ったカクヨム発の作品

『佐々木とピーちゃん』は、2018年12月4日にカクヨムで、同月8日に小説家になろうで連載が始まったWeb小説です。

第4回カクヨムWeb小説コンテストで特別賞を受賞し、2021年からMF文庫J初のソフトカバー作品として刊行。現在は13巻まで発売され、14巻が2026年10月23日に予定されています。

Web版は書籍版2巻の中頃までで更新休止中、書籍版では主ヒロインが追加されるなど内容が大きく異なります。

そして2026年10月7日から始まるアニメSeason2は、Web版の先にある物語です。Web版を入口に、書籍版で本流を追いかける。そんな二段構えの楽しみ方を、ぜひ味わってみてください。


よくある質問

佐々木とピーちゃんは最初どこで連載されていましたか?

カクヨムで2018年12月4日に連載が始まり、4日後の12月8日から小説家になろうでも連載されました。最初の掲載先はカクヨムです。

Web版と書籍版、どちらから読めばいいですか?

気軽に試すならカクヨムのWeb版がおすすめです。ただしWeb版は書籍2巻の中頃までで、書籍版には追加の主ヒロインもいるため、本格的に楽しむなら書籍1巻から読むのがよいと思います。

アニメSeason2の内容はWeb版で読めますか?

Season2の原作部分は書籍3巻以降とされており、Web版の範囲(書籍2巻中頃まで)を超えています。先の展開を知りたい場合は書籍版やコミカライズで追うのが確実です。

(文:みらくる)

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