※本記事はプロモーションを含みます
『来世は他人がいい』のOP主題歌「UNDER and OVER」は、吉乃と霧島の表と裏、そして人間の裏側まで抱えたまま未来を選ぶことを歌った曲です。
歌っているのはTHE ORAL CIGARETTES。2024年10月2日にデジタル配信され、作詞・作曲はボーカルの山中拓也さんが担当しています。
この記事では、タイトル「UNDER and OVER」の意味、歌詞と染井吉乃・深山霧島の関係、山中拓也さんの制作意図、OP映像との相性を、公式コメントや制作背景をもとに考察します。
OPを「ただ格好いい曲」として聴いてきた方ほど、制作背景を知ると最初とは違う余韻を味わえるはずです。
「来世は他人がいい」の主題歌は何?「UNDER and OVER」の基本情報
アニメ『来世は他人がいい』のOP主題歌は、THE ORAL CIGARETTESの「UNDER and OVER」です。2024年10月2日にデジタル配信されました。
TVアニメ『来世は他人がいい』の放送開始は2024年10月7日です。
「UNDER and OVER」は、吉乃と霧島の一筋縄ではいかない物語へ視聴者を導くオープニングテーマとして使われています。
「UNDER and OVER」の基本データ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 楽曲名 | UNDER and OVER |
| アーティスト | THE ORAL CIGARETTES |
| 作詞・作曲 | 山中拓也 |
| 編曲 | THE ORAL CIGARETTES |
| 配信開始日 | 2024年10月2日 |
| タイアップ | TVアニメ『来世は他人がいい』オープニングテーマ |
作詞・作曲を担当したのは、THE ORAL CIGARETTESのボーカル&ギター・山中拓也さんです。編曲はバンドのTHE ORAL CIGARETTESが手がけています。
THE ORAL CIGARETTES公式は2024年9月18日に、10月2日にデジタルリリースすることを告知していました。
「爆速ロック」だけでは説明できない曲調
この記事の初稿では「オーラルらしい爆速ロック」と書いていました。でも細かく聴き直すと、それだけでは説明しきれません。
公式インタビューでは「UNDER and OVER」を、ファンクやソウルを下敷きにしたポップな曲として語っています。
山中さん自身も、激しい曲とは違うやり方で体を揺らせる曲、ライブに多幸感を生める曲を求めていたと明かしています。
ここが『来世は他人がいい』との相性を考えるうえで、とても面白いところです。
『来世は他人がいい』は極道を背景にした緊張感の強い作品ですが、ずっと重苦しいわけではありません。
吉乃と霧島の日常には妙な可笑しさがあり、恋愛ものらしい軽さすら漂うことがあります。
ところが次の瞬間には、「この人、本当に何を考えているの?」という怖さが顔を出すのです。
山中さんもアニメ公式コメントで、作品の穏やかでコミカルな面と、シリアスで狂気的な面のあいだを揺れる気持ちを曲にしたという趣旨のことを語っています。
つまり「UNDER and OVER」は、単に激しいロックだから選ばれた曲ではありません。
明るさのすぐ隣に狂気がある。踊れそうなほど心地よいのに、言葉を追うと不穏さが残る。
この二重構造そのものが、『来世は他人がいい』という作品とよく似ているのです。
では、その二重構造はタイトルにどう表れているのでしょうか。次の章で見ていきます。
「UNDER and OVER」の意味とは?タイトルに込められた表と裏
先に結論を言うと、「UNDER and OVER」は吉乃と霧島の複数の関係性と、人間の「裏と表」を重ねたタイトルと考えるのが最も自然です。
山中拓也さんは公式インタビューで、主人公二人の異なる関係性を「UNDER」と「OVER」で表せると考えたと説明しています。
さらに、THE ORAL CIGARETTESが長く扱ってきた人間の「裏と表」というテーマも重ねたそうです。
そのため、「UNDER=○○」「OVER=○○」と一つの訳に固定するより、いくつもの境界が重なったタイトルとして受け取るほうが、曲と作品の魅力を味わいやすいでしょう。
タイトルの解釈を一覧で整理
公式の発言と作品の構造から読み取れる解釈を、一覧にまとめました。
| 視点 | UNDER | OVER | 根拠 |
|---|---|---|---|
| 二人の関係性 | 血筋・極道の世界に巻き込まれる関係 | 学生として過ごす関係 | 山中さんの公式インタビュー |
| 人間の内面 | 人に見せられない裏側・コンプレックス | 他人に見えている表の顔 | オーラルが扱ってきた「裏と表」のテーマ |
| 社会の構造 | 裏社会・地下 | 日常・表社会 | 作品構造からの筆者の解釈 |
| 力関係 | 振り回される側 | 主導権を握る側(何度も入れ替わる) | 物語の展開からの筆者の解釈 |
| バンド自身 | アンダーグラウンド | より広い場所 | 山中さんの後年のインタビューからの筆者の解釈 |
上の2行は公式の発言にもとづいています。下の3行は、そこから広げた筆者の解釈です。
この区別を意識しておくと、考察を「正解探し」ではなく「味わい方を増やす作業」として楽しめると思います。
1. 吉乃と霧島の二つの顔を表す「UNDER」と「OVER」
山中さんは公式インタビューで、学生として過ごす関係と、その先で血筋やヤクザの世界に巻き込まれていく関係を考えたことが、「UNDER and OVER」という言葉につながったと明かしています。
大切なのは、染井吉乃と深山霧島がただの「高校生カップル」ではないことです。
学校では制服を着た、ごく普通の高校生に見える二人。
しかしその背後には、極道の家に生まれた者同士という、簡単には切り離せない事情があります。
表面だけ見れば青春ですが、一段深く潜ると血筋と家同士の思惑があります。
さらに二人の内面にも、他人から見えている顔と、簡単には理解できない顔があります。
この何層にも重なった表と裏こそ、作品の側から「UNDER and OVER」を読み解く大きな鍵でしょう。
2. 裏社会(UNDER)と表社会(OVER)の境界線
初稿で私は、「UNDER=裏社会」「OVER=表社会」と読むこともできると書きました。
ただし、公式がこの訳をそのまま示しているわけではありません。ここから先は、作品の構造をふまえた一つの解釈です。
吉乃は極道の家で育った女子高生で、霧島もまた特殊な家庭環境を背負っています。
講談社の原作紹介でも、『来世は他人がいい』は「ヤクザの孫娘」と「ヤクザの孫息子」の恋物語として紹介されています。
それでも二人が暮らしているのは学校や東京の街で、一見すると私たちの日常と地続きです。
普通の日常の下に、普通ではない世界が沈んでいる。
この構造を考えると、UNDER=地下・裏側、OVER=地上・表側という読み方が作品世界と重なるのは自然です。
さらに興味深いのは、山中さんが後のインタビューで、ロックをアンダーグラウンドのまま終わらせず、より広い場所へ届けることについて語っている点です。
作品の中のUNDERとOVERだけでなく、バンド自身にとっての「地下と大衆」という現在地まで重なって見えます。
ここに、このタイトルがアニメ用の言葉遊びで終わらない奥深さがあると私は感じました。
3. 吉乃と霧島の「支配関係」が何度もひっくり返る
もう一つ見逃せないのが、吉乃と霧島の力関係です。
物語の序盤では、霧島のほうが圧倒的に不気味に見えます。
爽やかに笑っているのに考えが読めず、吉乃は霧島の異常さに振り回されます。
ところが吉乃は、ただ守られるヒロインではありません。
追い詰められるほど自分の覚悟を前に出し、霧島と真正面から向き合っていきます。
そして吉乃の強さを目の当たりにするほど、今度は霧島のほうが吉乃に深く引き寄せられていきます。
上だった者が下になる。
追う側だった者が追われる側になる。
支配しているように見えた者が、相手への感情から逃げられなくなっていく。
つまり、タイトルのUNDERとOVERは、最初から誰か一人に固定されているとは限らないのです。
私は「UNDER and OVER」という言葉に、一方的な上下関係では説明できない、二人の危ういシーソーゲームまで重ねて聴きたくなります。
タイトルの意味が見えてきたところで、次は歌詞の中身に入っていきましょう。
「UNDER and OVER」の歌詞の意味は?吉乃と霧島の心理を考察
「UNDER and OVER」の歌詞を理解するうえで大切なのは、吉乃と霧島だけを説明したキャラクターソングではないという点です。
山中拓也さんは公式インタビューで、『来世は他人がいい』を意識しながらも、自分自身の人生や内面を歌詞に落とし込んだと話しています。
だからアニメを知らない人が聴いても人生の曲として成り立ちますし、作品を知っている人が聴けば吉乃や霧島の顔が浮かびます。
この「二重に読める構造」が、「UNDER and OVER」の大きな魅力です。
なお、ここでは著作権に配慮して歌詞は転載しません。公式に公開されている内容と制作意図をふまえて、意味を読み解いていきます。
善悪ではなく「自分はどちらを選ぶのか」という歌
歌詞全体には、運命、選択、喪失、過去、未来といったモチーフが繰り返し出てきます。
公式に掲載された歌詞を確認すると、主人公の「少年」は人生の正解を誰かに教えてもらうのではなく、自分で進む方向を決めようとしています。
私はこの構造に、吉乃の生き方を重ねたくなります。
吉乃は極道の家に生まれましたが、本人が単純な「悪人」だからその世界にいるわけではありません。
かといって、一般社会の常識だけを振りかざして生きているわけでもありません。
自分が生まれた環境をわかったうえで、それでも「私はどうするのか」を選ぼうとする人です。
霧島と出会ってから、その問いはさらに厳しくなります。
何が正しいのか。
どこまで相手を信じるのか。
自分の人生を誰かに委ねるのか。
正解のない場所で、それでも自分の筋を通さなければならないのです。
その意味で「UNDER and OVER」は、善と悪を二つに分ける歌というより、白黒では割り切れない人生の中で、それでも自分の道を選ぶ歌なのだと思います。
「生まれ変わる」よりも「裏側まで自分として受け入れる」
この曲をさらに深くしているのが、山中さん自身の人生観です。
公式インタビューでは、THE ORAL CIGARETTESが以前から「人間の裏と表」を扱ってきたことが語られています。以前の山中さんは、人に見せられない部分やコンプレックスを肯定しようともがいていたそうです。
しかし今では、その裏側も含めて自分として受け入れられるようになり、その過程そのものが人生だと考えるようになったといいます。
ここが、私はとても『来世は他人がいい』らしいと感じます。
吉乃も霧島も、「普通の人間になり直す」物語を生きているわけではありません。
特に吉乃は、育った環境をすべて否定して普通になろうとはしません。
極道の孫娘として身につけた度胸も、人を見る目も、啖呵を切る強さも、自分の一部として背負っています。
この作品は、「暗い部分を捨てれば幸せになれる」という単純な話ではないのです。
自分の中にあるUNDERを消すのではなく、それを抱えたままOVERへ進んでいく。
そう考えると、「UNDER and OVER」というタイトルが急に人生そのもののように響いてきます。
「過去の影が未来を照らす」というイメージ
初稿では、この曲から受け取った印象を「過去の影が未来を照らす」という言葉で表しました。
誤解のないように補足すると、これは歌詞からの引用ではありません。筆者が曲全体から受け取ったイメージを言葉にしたものです。
ただ、考察の方向性は今も変わりません。
吉乃と霧島は、自分では選べなかった血筋や家庭環境によって出会います。
普通なら「逃げたい過去」になりそうなものが、結果として二人を出会わせ、互いの知らなかった顔を引き出していきます。
とはいえ、「過去があるから未来が決まる」ということではありません。
過去を抱えながら、そこからどんな未来を選ぶのか。
「UNDER and OVER」の根っこに流れているのは、その問いではないかと私は感じています。
これを『来世は他人がいい』という作品タイトルと重ねると、さらに興味深くなります。
タイトルには「来世」という言葉がありますが、吉乃たちが実際に生きなければならないのは来世ではなく今世です。
生まれた家も過去も、簡単には変えられません。
だからこそ「次に生まれ変わったら」ではなく、「今この瞬間にどう選ぶのか」という曲の方向性が、作品タイトルと逆向きに響き合っているように感じます。
歌詞の背景には、さらに意外な制作エピソードがあります。次の章でご紹介します。
山中拓也のコメントから分かる「UNDER and OVER」制作の裏側
制作背景を調べると、さらに面白い事実が見えてきます。
実はこの曲は、『来世は他人がいい』のタイアップが決まってからゼロで作られたものではありません。
山中拓也さんによると、曲の「タネ」は2021年の「MACHINEGUN」を作っていた時期より少し前、コロナ禍の頃からあったそうです。
音楽理論やポップスとしての組み立てを学びながら作り始めたものの、当時は完成形が見つからず、長いあいだ寝かせていたといいます。
そして『来世は他人がいい』のOP主題歌の話が来たことで、その曲を引っ張り出して完成させることになりました。
これはかなり重要な背景だと思います。
「アニメの内容に合わせて一から作った曲」というより、山中さんが数年かけて抱えてきた音楽的なテーマと、『来世は他人がいい』の世界観が重なったということだからです。
結果としてこの曲は、アニメのためだけの説明的な曲ではなく、THE ORAL CIGARETTES自身の時間や変化まで刻まれた一曲になりました。
公式インタビューでは、完成した「UNDER and OVER」がアニメ側から一度でOKをもらえたことも明かされています。
初稿では「アニメスタッフと何度も連携を重ねて完成した」と書いていました。しかし今確認できる公式インタビューでは、作品との相性がとても良く、アニメチームから一発で了承されたと語られています。
ここは事実として訂正し、整理しておきます。
「緊張と緩和」ではなく、狂気と多幸感が同居する
山中さんが最初に出したアーティストコメントでは、『来世は他人がいい』の穏やかな面と狂気的な面、そのあいだで揺れる感情を表現したという趣旨が語られています。
そのうえで後のインタビューを読むと、音楽面では激しいロック一辺倒ではなく、人が自由に体を揺らせるグルーヴや多幸感も意識していたことがわかります。
私は、ここに「UNDER and OVER」の最大の仕掛けがあると感じました。
普通、狂気を表現するなら暗くします。
危険な恋を描くなら重くします。
ところが「UNDER and OVER」は、むしろ体が自然に動きたくなるような軽やかさを持っています。
だからこそ、どこか怖いのです。
これは霧島という人物そのものにも通じます。
最初から恐ろしい顔で現れる人なら、私たちはすぐに警戒できます。
でも霧島は笑い、親切にし、爽やかに振る舞います。
その心地よさの奥に、簡単には理解できない何かがあるのです。
気持ちよく聴ける音楽の下に不穏な感情が潜んでいる構造が、霧島という人物の構造と似ている。
私はそこに、このタイアップの恐ろしいほどの相性の良さを感じます。
さらに山中さんは、自分のコンプレックスや人に見せられない部分を受け入れていくことも、この曲のテーマとして語っています。
つまり「UNDER and OVER」は、吉乃と霧島の物語であると同時に、THE ORAL CIGARETTESが長く歌ってきた「人間の表と裏」というテーマの現在地でもあるのです。
バンドが作品に個性を寄せただけでなく、バンド自身が抱えていたものと作品が出会った。
タイアップ曲の枠を超えて聴こえる理由は、ここにあるのでしょう。
アニメ「来世は他人がいい」OP映像と曲の相性は?注目ポイント3つ
『来世は他人がいい』のオープニングは、曲だけで聴くより映像と一緒に見るほうが印象が大きく変わります。
公式Blu-ray BOXにもノンクレジットオープニングが映像特典として収録されていて、OP自体が作品を象徴するコンテンツの一つになっています。
OP主題歌とアニメ本編の関係で注目したいポイントは、大きく3つあります。
- イントロから一気に作品世界へ入れること:軽快さがありながら不穏さも含む音によって、極道ものとラブストーリーが混ざった独特の空気へ自然に引き込まれます。
- 吉乃と霧島の関係を曲の起伏から感じられること:近づいたと思えば距離が生まれ、穏やかに見えた瞬間に緊張が走る。そんな二人の関係と曲の展開が重なって聞こえます。
- 激しさだけではないこと:第一印象はダークなロックでも、実際にはファンクやソウルのようなグルーヴがあり、作品のコミカルな部分まですくい上げています。
海外ファンにも伝わる理由
初稿では海外ファンの反応として、ダークな日本のロックや、映像とのシンクロを評価する声にも触れました。
個別のSNS投稿を作品全体の代表的な評価のように言い切ることは避けたいですが、このOPが言葉の壁を越えて印象に残りやすい理由は理解できます。
日本語の歌詞が完全にわからなくても、吉乃と霧島の「近いのか遠いのかわからない距離感」は、映像と音だけで伝わってくるからです。
OPの中心にいるのは、実は吉乃
私は、このOPで一番大切なのは「霧島の狂気を格好よく見せること」だけではないと思っています。
むしろ中心にいるのは吉乃です。
霧島という規格外の人間に出会っても、その色に全部染められるのではなく、自分の足で立ち続ける。
危険な世界に引き込まれながら、それでも自分の人生を選ぼうとする。
その姿勢と、「UNDER and OVER」にある人生の選択というテーマが重なったとき、このOPはただのおしゃれな映像ではなくなります。
格好よさのさらに奥から、「あなたは自分の人生のどちら側を選ぶのか」という問いが浮かび上がってくるように感じるのです。
OPをもう一度見るときの聴き方ガイド
ここまでの考察をふまえて、OPを見直すときに意識すると面白いポイントをまとめておきます。
- 1回目は霧島を追う:爽やかさと不穏さが同時にある、曲の「心地よい怖さ」と重ねて見る。
- 2回目は吉乃を追う:振り回されながらも自分の足で立つ姿を、「自分で道を選ぶ」という歌詞のテーマと重ねて見る。
- 3回目は曲だけを聴く:ファンクやソウルのグルーヴに注目し、作品のコミカルな面がどこに表れているかを探す。
同じ90秒前後のOPでも、視点を変えるだけで「狂気の映像」にも「選択の物語」にも見えてきます。
この見え方の切り替わりこそ、タイトルの「UNDER and OVER」が体験として味わえる瞬間だと私は思います。
アニメ「来世は他人がいい」の作品概要と主要キャスト
主題歌の意味をさらに味わうために、『来世は他人がいい』という作品そのものも整理しておきましょう。
原作は小西明日翔先生の漫画で、2017年から講談社「アフタヌーン」で連載が始まりました。
講談社は本作を、ヤクザの家に生まれた男女が織りなす、スリルと笑いを併せ持つ恋物語として紹介しています。
2023年10月に単行本第8巻が発売された時点で、累計280万部突破も発表されていました。
ストーリーのイントロダクション
主人公の染井吉乃は、極道の家で育った女子高生です。
特殊な家庭環境ではあっても、それまでは比較的穏やかに暮らしていました。
ところが、婚約者として深山霧島と出会ったことで日常が変わります。
霧島は外から見ると、人当たりがよく、爽やかで、隙のない青年です。
しかし付き合いが深まるにつれて、一般的な価値観では測れない危うさが見えてきます。
普通のラブストーリーなら、ここからヒロインが危険な男性に翻弄される話になりそうですよね。
ところが吉乃は違います。
追い詰められるほど腹を据え、相手が普通ではないなら、自分も真正面から受けて立ちます。
私はこの「ヒロインが恐怖から逃げるのではなく、恐怖そのものを睨み返す」構図こそ、『来世は他人がいい』の最大の面白さの一つだと思っています。
そして霧島も、そんな吉乃の強さを知ったことで、彼女への興味を急激に深めていきます。
普通の恋愛なら「優しくされたから好きになる」でしょう。
でもこの二人はそうではありません。
相手の中に、自分では理解できないものを見つけたから、目を離せなくなる。
その危うい引力こそ、「UNDER and OVER」の表と裏というテーマにぴったりなのです。
主要キャスト・制作スタッフ
| 役名 | キャスト |
|---|---|
| 染井吉乃 | 上田瞳 |
| 深山霧島 | 石田彰 |
| 鳥葦翔真 | 遊佐浩二 |
| 染井蓮二 | 上田燿司 |
| 深山萼 | 中井和哉 |
| 明石潟椿 | 上田麗奈 |
| 周防薊 | 神谷浩史 |
アニメーション制作はスタジオディーン、監督は川瀬敏文さんです。
上田瞳さんが演じる吉乃の魅力は、ただ声を荒らげるのではないところです。普段の落ち着きがあるからこそ、覚悟を決めた瞬間の強さが際立ちます。
一方、石田彰さんが演じる霧島は、柔らかな口調と読めない内面の落差が強烈です。
優しく聞こえるほど怖い。
笑っているほど、「この人は今何を考えているのだろう」と感じてしまいます。
この二人の声の温度差も、「表に見えているものと、その下に隠れているもの」という作品のテーマをより鮮やかにしています。
「UNDER and OVER」を聴いたあとに二人の会話を振り返ると、その温度差さえ、曲の「表と裏」という発想につながって見えてきます。
みらくるの考察|なぜ「UNDER and OVER」は『来世は他人がいい』にここまで合うのか?
ここからは、公式情報をふまえたうえでの私個人の考察です。
「UNDER and OVER」がここまで作品に合う最大の理由は、狂気そのものではなく、「自分の裏側とどう生きるか」を描いているからだと私は考えています。
一見すると、この作品で一番目立つのは霧島の異常さです。
しかし物語を追うと、本当に面白いのは「普通か異常か」という二択ではないと気づきます。
吉乃にも、普通ではない強さがあります。
霧島にも、「怖い男」という言葉だけでは説明できない感情があります。
人間は表だけではわからない。
そして自分自身でさえ、自分の裏側を完全に理解しているとは限りません。
このテーマは、山中さんが語った「人間の裏と表」という、THE ORAL CIGARETTESが長く持ち続けてきたテーマとも重なります。
「共依存」よりも「互いの正体を暴いていく関係」
初稿では、この二人を「共依存の美学」と表現しました。
ただ改めて整理すると、アニメ序盤の吉乃と霧島を単純な共依存だと言い切るのは少し早いでしょう。
今の私がもっとしっくりくると感じるのは、互いの正体を暴いていく関係という見方です。
霧島は吉乃を試す。
吉乃も霧島を観察する。
霧島が一枚めくれば、吉乃も一枚めくり返す。
「あなたはこういう人ですよね」とわかった瞬間、さらにその下から別の顔が出てきます。
まるで玉ねぎの皮をむくように、お互いのUNDERが次々と現れるのです。
だから二人は、簡単には相手への興味を失えないのではないでしょうか。
そこには恋愛感情だけでなく、「この人の底を見たい」という好奇心があります。
「好きだから知りたい」という順番だけではなく、「知れば知るほどわからないから目を離せない」。
ここが、一般的な恋愛作品と決定的に違うところだと思います。
この構造をタイトルに重ねると、「OVER」はUNDERの反対側にあるゴールではなく、一つのUNDERを越えた先に現れる次の層とも読めます。
相手を理解したと思った瞬間、その理解を越えて(OVERして)別の顔が現れる。
だから二人の関係には、なかなか終わりが見えません。
「UNDER and OVER」は表と裏を表すだけでなく、相手への理解が更新され続ける二人の関係まで象徴しているように私は感じています。
過去のオーラル作品「狂乱 Hey Kids!!」との違い
THE ORAL CIGARETTESのアニメ主題歌といえば、『ノラガミ ARAGOTO』のOP「狂乱 Hey Kids!!」を思い浮かべる人も多いでしょう。
あの曲にも、THE ORAL CIGARETTESらしい危うさと爆発力がありました。
一方「UNDER and OVER」は、同じく一筋縄ではいかない世界を扱いながら、表現のしかたがかなり違います。
山中さん自身、これまでの激しく盛り上がる代表曲とは別の役割を持つ曲を作りたかったと語っています。
若い衝動をそのまま爆発させる狂気ではありません。
自分の過去や弱さや裏側まで知ったうえで、それでも先へ進む。
そんな少し成熟した感覚があります。
バンドが年齢と経験を重ねたタイミングで、『来世は他人がいい』という表裏の激しい作品に出会った。
その組み合わせが、結果としてとても深い主題歌を生んだのでしょう。
実は「狂気の歌」ではなく「未来を欲しがる歌」
そして、この記事で一番伝えたいのがここです。
ジャケットやアニメのイメージだけを見ると、「UNDER and OVER」は危険な恋や狂気を歌った曲のように感じます。
しかし公式に掲載された歌詞全体を追うと、繰り返し中心にあるのは未来へ進もうとする意志です。歌詞の終盤まで、「未来」という方向性が強く残っています。
これはかなり重要だと思います。
過去を消す歌ではない。
裏側を否定する歌でもない。
運命から完全に逃げ切る歌でもない。
いろいろなものを抱えたまま、それでも次の人生を選ぶ歌です。
だから聴き終えたあと、暗さだけでなく不思議な爽快感が残るのでしょう。
『来世は他人がいい』も同じです。
極道という逃れにくい背景を背負いながら、吉乃は誰かに人生を決められることを簡単には受け入れません。
生まれた場所は選べなくても、その場所でどう立つかは選べる。
その姿と「UNDER and OVER」の人生観は、深いところでつながっているように感じます。
「来世」と「未来」は似ているようで違う
もう一歩踏み込むと、作品タイトルの「来世」と、主題歌が向かう「未来」の違いも大切だと私は考えています。
「来世」は、今の人生のさらに先にあるものです。
一方「未来」は、今ここから地続きで続いていくものです。
作品タイトルだけを見ると、今の関係を突き放すような響きがあります。
それでも物語の二人は、今世で出会い、今世で互いの表と裏を知り、今世で選択を繰り返していきます。
だからこそ「UNDER and OVER」の未来志向は、『来世は他人がいい』という少し突き放したタイトルに対する、もう一つの答えのようにも聞こえるのです。
来世でどうなるかではなく、今抱えているものを持ったまま、次の一歩をどう選ぶのか。
個人的には、この視点で聴き直したとき、「UNDER and OVER」が作品の雰囲気に合っただけのOPではなく、吉乃たちが歩く物語に寄り添った曲として、より強く感じられました。
今後この曲はどう聴こえていくか
最後に、少し先の見通しも書いておきます。
物語が進み、吉乃と霧島の新しい顔が見えるたびに、このOPの聴こえ方も変わっていくはずだと私は考えています。
序盤では「霧島の不気味さ」の曲に聴こえたものが、二人の関係が深まるにつれて「吉乃が選び取る未来」の曲に聴こえてくる。
タイトルが一つの訳に固定されていないからこそ、物語と一緒に意味が育っていく。
それが、長く聴き続けられるタイアップ曲の条件なのかもしれません。
まとめ|「UNDER and OVER」は表と裏を抱えて未来へ進む主題歌
アニメ『来世は他人がいい』のOP主題歌「UNDER and OVER」は、THE ORAL CIGARETTESが作品のコミカルさと狂気、そのあいだで揺れる感情を意識して作った曲です。
2024年10月2日にデジタル配信され、作詞・作曲は山中拓也さん、編曲はTHE ORAL CIGARETTESが担当しました。
タイトルの意味を考えるうえで大切なのは、「裏社会と表社会」という解釈だけではないことです。
山中さん本人が語っているように、そこには吉乃と霧島の異なる関係性、THE ORAL CIGARETTESが長年描いてきた人間の「裏と表」、そして自分のコンプレックスまで抱えて生きる人生観が重なっています。
私自身、最初は「吉乃と霧島の狂った関係を表現した格好いいOP」という印象でした。
でも制作背景まで知った今は、少し違って聴こえます。
これは「狂気に落ちていく曲」というより、自分の中の光も闇も抱えたまま、それでも未来を欲しがる人の歌なのではないでしょうか。
吉乃も霧島も、まだ相手の底を知りません。
私たち視聴者も、二人の本当の顔をすべて知っているわけではありません。
だから表がめくれるたびに、その下にまた別の顔が現れます。
そのたびに「UNDER」だったものが「OVER」になり、その先にまた新しいUNDERが見えてくるのです。
「UNDER and OVER」というタイトルは、そんな『来世は他人がいい』の物語そのものを、わずか三つの単語で表しているように感じます。
OPをもう一度見るときは、「どちらがUNDERで、どちらがOVERなのか」だけでなく、一人の人間の中にもUNDERとOVERが同時にあるという視点でも味わってみてください。
きっと最初に聴いたときとは少し違う、吉乃と霧島らしい危うくて不思議な余韻が残るはずです。
よくある質問
「来世は他人がいい」のOP主題歌は何?誰が歌っている?
アニメ『来世は他人がいい』のOP主題歌は、THE ORAL CIGARETTESの「UNDER and OVER」です。
作詞・作曲はボーカル&ギターの山中拓也さん、編曲はTHE ORAL CIGARETTESが担当しています。
「UNDER and OVER」はいつ配信された?
THE ORAL CIGARETTES「UNDER and OVER」は、2024年10月2日にデジタルリリースされました。
TVアニメ『来世は他人がいい』は同年10月7日から放送されています。Apple MusicやSpotifyなどの配信状況は変わる可能性があるため、最新情報はTHE ORAL CIGARETTES公式や各サービスで確認してください。
「UNDER and OVER」のタイトルにはどんな意味がある?
山中拓也さんは公式インタビューで、『来世は他人がいい』の主人公二人の異なる関係性を考えたとき、それを「UNDER」と「OVER」で表せると思ったと明かしています。
さらに、THE ORAL CIGARETTESが以前から扱ってきた「人間の裏と表」や、自分の裏側・コンプレックスを受け入れて生きることも曲のテーマになっています。
そのため、「極道という裏社会と日常」という作品側からの解釈に加えて、「一人の人間の中にある表と裏」「吉乃と霧島の入れ替わり続ける力関係」「過去を抱えながら未来を選ぶこと」まで重ねて聴くと、より深く味わえるでしょう。
「UNDER and OVER」はアニメのために書き下ろされた曲?
『来世は他人がいい』のOP主題歌として完成した曲ですが、完全なゼロからの書き下ろしではありません。
山中さんによると、曲のタネはコロナ禍の頃からあり、タイアップの話をきっかけに完成させたそうです。完成した曲はアニメ側から一度でOKが出たことも、公式インタビューで語られています。
ノンクレジットOPはどこで見られる?
公式Blu-ray BOXに、ノンクレジットオープニングが映像特典として収録されています。
商品の仕様や販売状況は変わる場合があるため、購入前に公式情報や販売ページで最新の内容を確認してください。
関連するアニメ考察や伏線についても、作品の余韻を大切にしながら詳しく掘り下げています。
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